Legacy’s Allure - Entombing Treasures
2009年11月24日 英語→日本語風 コメント (1)原文:http://www.starcitygames.com/magic/legacy/18294_Legacys_Allure_Entombing_Treasures.html
9月の禁止カードリストの更新によって、大きな影響があるとは言えないながらも注意を払うべきカード、《納墓/Entomb》がレガシー環境において解禁されました。
今週はこの素敵なインスタントの2つの使い道、従来どおりのリアニメイト戦略と《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》以来の”クリーチャーっていうよりコンボパーツ”《変幻の大男/Protean Hulk》についての記事です。
《納墓》とリアニメイト戦略
リアニメイト戦略は昔からカードプールの広いフォーマットで力を発揮してきました。
Tom Guevinによるこのベンツォ解説記事(英語:http://www.wizards.com/sideboard/article.asp?x=sb20011210a 日本語:http://braingeyser.at.infoseek.co.jp/01/1211benzo.html)は一読の価値があります。
ベンツォは数年前のエクステンデッドで猛威を振るったリアニメイトデッキです。
珠玉のデッキリストはこちら
19 Swamp/沼
3 Rishadan Port/リシャーダの港
1 Avatar of Woe/悲哀の化身
1 Multani, Maro Sorcerer/マローの魔術師ムルタニ
1 Verdant Force/新緑の魔力
1 Squee, Goblin Nabob/ゴブリンの太主スクイー
2 Krovikan Horror
1 Nether Spirit/冥界のスピリット
4 Zombie Infestation/ゾンビの横行
4 Entomb/納墓
3 Buried Alive/生き埋め
4 Vampiric Tutor/吸血の教示者
4 Reanimate/再活性
2 Animate Dead/動く死体
4 Exhume/死体発掘
4 Duress/強迫
1 Contamination/汚染
1 Massacre/虐殺
SIDEBOARD
2 Massacre/虐殺
1 Terror/恐怖
1 Bone Shredder/骨砕き
1 Ascendant Evincar/隆盛なるエヴィンカー
1 Avatar of Woe/悲哀の化身
1 Marauding Knight/無法の騎士
3 Phyrexian Negator/ファイレクシアの抹殺者
2 Contamination/汚染
1 Phyrexian Furnace/ファイレクシアの炉
1 Null Rod/無のロッド
1 Perish/非業の死
このデッキは1ターン目に《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《強迫/Duress》、《納墓》で《新緑の魔力/Verdant Force》か《マローの魔術師ムルタニ/Multani, Maro-Sorcerer》を埋めて《再活性/Reanimate》と動いて勝つことができました。(ポマ注:当時のエクステンデッドは《暗黒の儀式》が禁止だったのでこの動きはできませんでした。)
手札の一番良いカードを捨てさせられた上、2-3ターンクロックに対処しなければいけない状態でゲームを始めた対戦相手に比べれば、8ライフの損失は問題になりませんでした。
他に、2ターン目の《ゾンビの横行/Zombie Infestation》と《生き埋め/Buried Alive》からの《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》と2枚の《Krovikan Horror》が,巧妙なスタックトリックを使ってアンタップステップを迎えるたびに3体のゾンビトークンを作り出すこともありました。
ベンツォは長期戦になると抜け出すのが困難なロックデッキへと変わります。
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》によって《汚染/Contamination》を探し出し、《冥界のスピリット/Nether Spirit》や《新緑の魔力》で維持し続けたのです。
今の私たちは《吸血の教示者》を使うことはできませんが(おそらく環境にとってはよいことでしょう)、他にベンツォを強化するカードを手に入れています。
さらに、墓地から吊り上げるクリーチャーも当時より豊富にいます。
もしこれらのカードが無ければ《納墓》は環境にたいした影響を与えられなかったでしょう。
《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
この7/7飛行は1ターン目に対戦相手の除去を全て役立たずにするか、あるいはもっと悪いことに、対戦相手のデッキを丸ごと使えなくさせてしまうことができるんです!
客観的に見て、《イオナ》はそこまで”終わってる”カードではありません。ゲームの後半になると彼女を《再活性》したらダメージレースに勝てなくなってしまいます。
そんな時はこちらのカードを使いましょう。
《鋼の翼のスフィンクス/Sphinx Of The Steel Wind》
アクローマロボは攻撃に行ってもアンタップ状態の安心設計で、なおかつプロテクション(スレッショルド)を持っているため、ライフの心許ないゲームの風向きを速やかに変えてくれます。
農場送りにされてしまいますが、これはリアニメイターデッキ全般が抱える問題点なのであきらめてください。
さらにもう2つのディフェンスに定評のあるびっくりドッキリメカを簡単にご紹介しましょう。
戦場にいるうちは火力ダメージと戦闘ダメージのほとんど吸収してくれる《浄火の大天使/Empyrial Archangel》と、ドレッジと単体除去が苦手なデッキを文字通りシャットダウンしてくれる《魅力的な執政官/Blazing Archon》です。
残念ながらリアニメイターデッキは明確な弱点を抱えてます。
打ち消し呪文は対象が明らかなので(《納墓》とリアニメイト呪文)、デッキを空回りさせやすいでしょう。
手札破壊は打消し呪文に対する回答になりますので、ついでにどんな手段でこちらの巨大生物に対処してくるかも確認しておきましょう。
《剣を鍬に/Swords to Plowshares》と《流刑への道/Path to Exile》は打ち消し呪文と同じ理由の脅威で、巨大生物を出すのにかかったリソースを無駄にしてしまいます。
そして、当然のことながら墓地対策カードが目の上のたんこぶです。
ドレッジが公然の敵になってくれたおかげで、ウィザーズ社は新しいセット毎に墓地対策カードを入れることにしたようです(;^^
昔のエクステンデッドでは《ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace》だけだった墓地対策が、今や代表的なものだけでも《虚空の力線/Leyline of the Void》、《次元の狭間/Planar Void》、《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》、《貪欲な罠/Ravenous Trap》があります。
《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》と《真髄の針/Pithing Needle》がそれらの大半への対策となります。
1ゲーム目は対策カードを使われることがほとんど無いので、ドレッジと同じように取ることができるでしょう。というか第1ゲームは必ず取った上で残りの2ゲームのうちどちらかを対策カードを引かれない幸運で取っていくことになります。
なぜ「ザ・墓地デッキ」のドレッジではなくリアニメイターを使うのか考えてみましょう。
リアニメイターは、《強迫/Duress》などで相手に干渉する機会がより多くあります。更に安定したマナベースと使い方が簡単であることも付け加えましょう。
複数種類の墓地対策カードを相手に回す場合、手札破壊とリアニメイト呪文を連打していけばより簡単に勝てるはずです。
《死体発掘/Exhume》は対象を取っていないため、対戦相手の戦場に《大祖始の遺産》があっても、《死体発掘》を唱えて《遺産》を使わせた後に《納墓》のおかわりや《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》や《ゾンビの横行》で他のデカブツを墓地に放り込んでやりましょう。
今回リアニメイトデッキを作る為、参考にしたのがイタリアの135人トーナメントで3位にはいったStefano Venturiniのデッキです。
http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=30135
それから皆さんが脳内構築するであろうベンツォを私も作ってみました。
http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=30136
オリジナルのベンツォが通った道は封鎖されてしまっているので出来が荒いですね(;^^
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》は《新緑の魔力》の代わりに《汚染》の維持用兼手札から出しうるクリーチャーとして採用してみました(核爆)。
以下のようなシナリオを考えて見ましょう。
相手は手札に2枚の《剣を鍬に》があってこれでゲームをコントロールして行こうと考えています。
そこに《思考囲い/Thoughtseize》、《ゾンビの横行/Zombie Infestation》、《汚染》、アップキープに《冥界のスピリット》と何かを捨ててゾンビトークンを《汚染》のコストに。なんという汚染状態!
(ポマ注:原文では1ターン目に《汚染》、2ターン目に《ゾンビの横行》で相手に何もさせないぜ!とありますが、それだと2ターン目のアップキープコストが払えないので、それっぽく変えてみました)
《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》は《イオナ》たんと《ウーナ》たんの攻撃を邪魔させないために入れてあります。
先人の例に倣って《悲哀の化身/Avatar of Woe》を使うこともできますよ(水爆)。
《納墓》と《変幻の大男》
《変幻の大男/Protean Hulk》は一見したところクリーチャーにしか見えません。
パワー/タフネスがあってクリーチャータイプも持ってるし、絵に写っているのはおっそろしか化物です。
ところがぎっちょん!
このクリーチャーはジョニー(コンボ大好きプレイヤー)御用達のコンボパーツなのです!
《閃光/Flash》の禁止以来使われることのなかった《大男》が《納墓》によって新たな命を与えられました。
《大男》を墓地に放り込んだ後、《ネクロマンシー/Necromancy》か《御霊の足跡/Footsteps of the Goryo》で吊り上げれば《大男》は勝手に墓地に落ちてくれるのでコンボは完成です。
《納墓》を使う一番大きな利点はデッキ内の《大男》を1枚にすることによって、コンボパーツを引いてしまう可能性を低く抑えることです。
一般的な勝ち手段を見ていきましょう。
《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
必要なもの
4 《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
4 《変容する壁/Shifting Wall》
3 《ファイレクシアの略奪機/Phyrexian Marauder》
どうやって勝つの?
4枚の《信奉者》(3枚でもok)を《大男》で出します。
一緒にマナコストがXのアーティファクトクリーチャーも出しましょう。
場に出た時にアーティファクトクリーチャーのパワー/タフネスがチェックされますが、X=0ですので即墓地送りです。
これは戦場を経由するため、《信奉者》の能力を誘発させますので、対戦相手は少なくとも21点のライフを失うことになります。
《信奉者》の利点
・単体除去と墓地対策に耐性がある。
・単純にクリーチャーをまとめて出すだけなのでおバカさんな貴方にうってつけ。
・コンボパーツ単体でも場に出すことはできるのでコンボ以外でも多少は役にたつ。
《信奉者》の駄目な点
・コンボパーツが11枚(!)必要。
・最高28点しか削れないので、ライフを多めに獲得されると勝てなくなってしまう。
《目覚ましヒバリ/Reveillark》
必要なもの
1 《目覚ましヒバリ/Reveillark》
1 《影武者/Body Double》
1 《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
1 《胆汁小僧/Bile Urchin》
補助
1 《ボディ・スナッチャー/Body Snatcher》
1 《森を護る者/Sylvan Safekeeper》
どうやって勝つの?
まずは最初の《大男》の能力で《屍肉喰らい》+《影武者》か《屍肉喰らい》+《ボディスナッチャー》を持ってきましょう。
《ボディスナッチャー》は手札に《屍肉喰らい》以外のコンボパーツがあった場合、それを捨てるために持ってきます。
《影武者》の場合は《大男》をコピー、《ボディスナッチャー》は《屍肉喰らい》で生贄に捧げて《大男》を戦場に戻しましょう。
今度は《大男》(もしくは変身した《影武者》)を《屍肉喰らい》で生贄に捧げて《ヒバリ》と《胆汁小僧》を持ってきましょう。
《小僧》を生贄に捧げて対戦相手のライフを減らし、今度は《屍肉喰らい》で《ヒバリ》を食べちゃいます。
《ヒバリ》が戦場を離れた能力で《影武者》と《小僧》が戻ってきます。
《影武者》は《ヒバリ》のコピーとして戦場に戻しましょう。
ここでもう一度《小僧》を生贄に捧げます。
おかしく感じるかもしれませんが、《ヒバリ》をコピーした《影武者》を《屍肉喰らい》で生贄に捧げると、戦場を離れた能力で《影武者》自身を元に戻すことができるのです。
これを繰り返すと相手のライフがどんなに膨大にあろうとも《小僧》をそのライフ分生贄に捧げたり、《屍肉喰らい》をそのライフよりも大きくできちゃったりしちゃったりできるのです。
つまりノンストップ!ヒバリ君というわけですね。
《ヒバリ》の利点
・妨害が難しい。《屍肉喰らい》への単体除去は防げます。最初の《大男》の能力で《屍肉喰らい》+《ボディスナッチャー》+《森を護る者》を持って来れば、戦場にある土地の枚数分だけ単体除去をかわせるのです。
・コンボを妨害されても《ヒバリ》+《屍肉喰らい》でビートダウンができうる。
・必要枚数が少なくて済む。
《ヒバリ》の駄目な点
・墓地対策の影響受けまくりんぐ。
・コンボがちょいと複雑なのでおバカさんな貴方には使いこなせない。
スリヴァー
必要なもの
4 《悪性スリヴァー/Virulent Sliver》
1 《ハートのスリヴァー/Heart Sliver》
補助
1 《有翼スリヴァー/Winged Sliver》
1 《水晶スリヴァー/Crystalline Sliver》
どうやって勝つの?
必要パーツをまとめて場に出します。
速攻持ちスリヴァーの攻撃が全て通れば相手に毒カウンターを20個エビルプレゼント!
《有翼》でブロッカーをかわしたり《水晶》で単体除去をかわせたりもできます。
《陰影スリヴァー/Shadow Sliver》ならブロックされないと12個プレゼントです。
スリヴァーの利点
・墓地を使いません。
・コンボパーツ単体をそのままプレイできるので、コンボしないで毒カウンターで勝つことができるかも。《悪性》が2体いるとかなり簡単です。
スリヴァーの駄目な点
・単体除去と火力にゲロ弱。
・攻撃クリーチャー指定前に《大男》を生贄に捧げる手段がないと《ハート》が全く意味なし子ちゃん。
《ヒバリ》以外に選択の余地はなさそうですが、スリヴァー・キルは芸術点高めです。
サイドにスリヴァーセットを用意しておけば、サイドボーディング後の相手の墓地対策を空振りさせられるかもしれません。
いずれにせよ、最初に吊り上げる《大男》を狙われるので、2枚目の《大男》をサイドに用意しておくのもいいと思う。いいんじゃないかな。まちょっと覚悟はしておけ。
《大男》コンボは許容範囲の強さでしょう。
結構な回数のテストの結果、強いけど強すぎないコンボという印象です。
きちんと土地を置けてうまい具合に呪文をプレイできてもギリギリという感じで、少しもたつくとあっという間にフルボッコです。
Patrick Chapin(と私たちのチーム)によるこちらのリストはテストプレイで好感触でした。
http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=30137
対戦相手が《剣を鍬に》を使っている場合は《陰謀団式療法/Cabal Therapy》を墓地に用意しましょう。
《ネクロマンシー》が《大男》を生贄に捧げるのはターン終了ステップの開始時ですので、それまでに《剣を鍬に》や《流刑への道/Path to Exile》の格好の的となってしまいます。
《ネクロマンシー》の後、優先権を放棄しないで《療法》をフラッシュバックすればそんな隙を見せずに済みます。
生贄に捧げるのがコストの一部ですので、対戦相手に《大男》を追放するタイミングはナッシングです。
《綿密な分析/Deep Analysis》は《納墓》で持って来るもよし、《神秘の教示者/Mystical Tutor》で持ってくるも良しのナイスカードです。
対戦相手の打ち消し呪文の壁をこじ開けるために手札破壊を使った後、《分析》で4枚引いて相手を出し抜いてやりましょう。
《否定の契約/Pact of Negation》は非常に強力なのですが、
・相手の手札を覗ける
・コンボを決める前でも使える
事から《強迫/Duress》をお勧めします。
《契約》はコンボを始めるターンにしか使いませんしね。
個人的に《契約》や《思案/Ponder》の代わりに《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》を使ってみたいです。
コンボパーツを引かないようにできますし、手札破壊への耐性もつきます。
Chapinのリストはデュアルランドをたくさん使っていますが、実は《Underground Sea》を2~3枚、フェッチランドは6~8枚、残りは基本地形で済ますこともできるんです。
基本地形7枚入りのデッキを使ったら、対カナディアンスレッショルド(カナスレ側のこちらに効き目のあるカードは《もみ消し/Stifle》だけ)がとっても楽になりましたよ。
《世界喰らいのドラゴン》よろしく、ハルクコンボには相手の裏をかく余地が沢山あります。
相手の対策カードをかわす勝ち方(《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》を4枚と《森を護る者/Sylvan Safekeeper》を1枚・《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を3枚等)に調整することもできます。
サイドボードは相手の対策カードへの対策が必要になりますので、《真髄の針/Pithing Needle》と《恭しき沈黙/Reverent Silence》は両方とも採用したいですね。
変身サイドボードに使うスペースはそれに見合った結果がめったに得られませんのでお奨めできません。それでも対策カードを交わす勝ち手段として《破滅的な行為/Pernicious Deed》と《墓忍び/Tombstalker》は試してもいいでしょう。
《納墓》の上手な使い方
《納墓》はリアニメイトデッキを強化しましたが、それだけに留まらない力を秘めています。
例えば
・ロック風デッキで《壌土からの生命/Life from the Loam》や《起源/Genesis》を墓地に用意。
・《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》デッキで《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》や《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》といったコンボパーツを墓地に用意。
・《汚染/Contamination》デッキのコンボパーツを墓地に用意。
・ドレッジで《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》を墓地に用意。
《納墓/Entomb》を使って気づいたことがあったら是非ともフォーラムかメールで教えてください。
《イオナ》たんとの組み合わせって強い?
それとも《大男》と一緒のほうが素敵?
私が見落としたサムシングがあったりする?
私はレガシーでの使用に耐えうるカードが出てくるのを心待ちにしてるんです。
それじゃまた来週。
Doug Linn
legacysallure@gmail.com
9月の禁止カードリストの更新によって、大きな影響があるとは言えないながらも注意を払うべきカード、《納墓/Entomb》がレガシー環境において解禁されました。
今週はこの素敵なインスタントの2つの使い道、従来どおりのリアニメイト戦略と《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》以来の”クリーチャーっていうよりコンボパーツ”《変幻の大男/Protean Hulk》についての記事です。
《納墓》とリアニメイト戦略
リアニメイト戦略は昔からカードプールの広いフォーマットで力を発揮してきました。
Tom Guevinによるこのベンツォ解説記事(英語:http://www.wizards.com/sideboard/article.asp?x=sb20011210a 日本語:http://braingeyser.at.infoseek.co.jp/01/1211benzo.html)は一読の価値があります。
ベンツォは数年前のエクステンデッドで猛威を振るったリアニメイトデッキです。
珠玉のデッキリストはこちら
19 Swamp/沼
3 Rishadan Port/リシャーダの港
1 Avatar of Woe/悲哀の化身
1 Multani, Maro Sorcerer/マローの魔術師ムルタニ
1 Verdant Force/新緑の魔力
1 Squee, Goblin Nabob/ゴブリンの太主スクイー
2 Krovikan Horror
1 Nether Spirit/冥界のスピリット
4 Zombie Infestation/ゾンビの横行
4 Entomb/納墓
3 Buried Alive/生き埋め
4 Vampiric Tutor/吸血の教示者
4 Reanimate/再活性
2 Animate Dead/動く死体
4 Exhume/死体発掘
4 Duress/強迫
1 Contamination/汚染
1 Massacre/虐殺
SIDEBOARD
2 Massacre/虐殺
1 Terror/恐怖
1 Bone Shredder/骨砕き
1 Ascendant Evincar/隆盛なるエヴィンカー
1 Avatar of Woe/悲哀の化身
1 Marauding Knight/無法の騎士
3 Phyrexian Negator/ファイレクシアの抹殺者
2 Contamination/汚染
1 Phyrexian Furnace/ファイレクシアの炉
1 Null Rod/無のロッド
1 Perish/非業の死
このデッキは1ターン目に《暗黒の儀式/Dark Ritual》、《強迫/Duress》、《納墓》で《新緑の魔力/Verdant Force》か《マローの魔術師ムルタニ/Multani, Maro-Sorcerer》を埋めて《再活性/Reanimate》と動いて勝つことができました。(ポマ注:当時のエクステンデッドは《暗黒の儀式》が禁止だったのでこの動きはできませんでした。)
手札の一番良いカードを捨てさせられた上、2-3ターンクロックに対処しなければいけない状態でゲームを始めた対戦相手に比べれば、8ライフの損失は問題になりませんでした。
他に、2ターン目の《ゾンビの横行/Zombie Infestation》と《生き埋め/Buried Alive》からの《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》と2枚の《Krovikan Horror》が,巧妙なスタックトリックを使ってアンタップステップを迎えるたびに3体のゾンビトークンを作り出すこともありました。
ベンツォは長期戦になると抜け出すのが困難なロックデッキへと変わります。
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》によって《汚染/Contamination》を探し出し、《冥界のスピリット/Nether Spirit》や《新緑の魔力》で維持し続けたのです。
今の私たちは《吸血の教示者》を使うことはできませんが(おそらく環境にとってはよいことでしょう)、他にベンツォを強化するカードを手に入れています。
さらに、墓地から吊り上げるクリーチャーも当時より豊富にいます。
もしこれらのカードが無ければ《納墓》は環境にたいした影響を与えられなかったでしょう。
《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
この7/7飛行は1ターン目に対戦相手の除去を全て役立たずにするか、あるいはもっと悪いことに、対戦相手のデッキを丸ごと使えなくさせてしまうことができるんです!
客観的に見て、《イオナ》はそこまで”終わってる”カードではありません。ゲームの後半になると彼女を《再活性》したらダメージレースに勝てなくなってしまいます。
そんな時はこちらのカードを使いましょう。
《鋼の翼のスフィンクス/Sphinx Of The Steel Wind》
アクローマロボは攻撃に行ってもアンタップ状態の安心設計で、なおかつプロテクション(スレッショルド)を持っているため、ライフの心許ないゲームの風向きを速やかに変えてくれます。
農場送りにされてしまいますが、これはリアニメイターデッキ全般が抱える問題点なのであきらめてください。
さらにもう2つのディフェンスに定評のあるびっくりドッキリメカを簡単にご紹介しましょう。
戦場にいるうちは火力ダメージと戦闘ダメージのほとんど吸収してくれる《浄火の大天使/Empyrial Archangel》と、ドレッジと単体除去が苦手なデッキを文字通りシャットダウンしてくれる《魅力的な執政官/Blazing Archon》です。
残念ながらリアニメイターデッキは明確な弱点を抱えてます。
打ち消し呪文は対象が明らかなので(《納墓》とリアニメイト呪文)、デッキを空回りさせやすいでしょう。
手札破壊は打消し呪文に対する回答になりますので、ついでにどんな手段でこちらの巨大生物に対処してくるかも確認しておきましょう。
《剣を鍬に/Swords to Plowshares》と《流刑への道/Path to Exile》は打ち消し呪文と同じ理由の脅威で、巨大生物を出すのにかかったリソースを無駄にしてしまいます。
そして、当然のことながら墓地対策カードが目の上のたんこぶです。
ドレッジが公然の敵になってくれたおかげで、ウィザーズ社は新しいセット毎に墓地対策カードを入れることにしたようです(;^^
昔のエクステンデッドでは《ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace》だけだった墓地対策が、今や代表的なものだけでも《虚空の力線/Leyline of the Void》、《次元の狭間/Planar Void》、《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》、《貪欲な罠/Ravenous Trap》があります。
《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》と《真髄の針/Pithing Needle》がそれらの大半への対策となります。
1ゲーム目は対策カードを使われることがほとんど無いので、ドレッジと同じように取ることができるでしょう。というか第1ゲームは必ず取った上で残りの2ゲームのうちどちらかを対策カードを引かれない幸運で取っていくことになります。
なぜ「ザ・墓地デッキ」のドレッジではなくリアニメイターを使うのか考えてみましょう。
リアニメイターは、《強迫/Duress》などで相手に干渉する機会がより多くあります。更に安定したマナベースと使い方が簡単であることも付け加えましょう。
複数種類の墓地対策カードを相手に回す場合、手札破壊とリアニメイト呪文を連打していけばより簡単に勝てるはずです。
《死体発掘/Exhume》は対象を取っていないため、対戦相手の戦場に《大祖始の遺産》があっても、《死体発掘》を唱えて《遺産》を使わせた後に《納墓》のおかわりや《朽ちゆくインプ/Putrid Imp》や《ゾンビの横行》で他のデカブツを墓地に放り込んでやりましょう。
今回リアニメイトデッキを作る為、参考にしたのがイタリアの135人トーナメントで3位にはいったStefano Venturiniのデッキです。
http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=30135
それから皆さんが脳内構築するであろうベンツォを私も作ってみました。
http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=30136
オリジナルのベンツォが通った道は封鎖されてしまっているので出来が荒いですね(;^^
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》は《新緑の魔力》の代わりに《汚染》の維持用兼手札から出しうるクリーチャーとして採用してみました(核爆)。
以下のようなシナリオを考えて見ましょう。
相手は手札に2枚の《剣を鍬に》があってこれでゲームをコントロールして行こうと考えています。
そこに《思考囲い/Thoughtseize》、《ゾンビの横行/Zombie Infestation》、《汚染》、アップキープに《冥界のスピリット》と何かを捨ててゾンビトークンを《汚染》のコストに。なんという汚染状態!
(ポマ注:原文では1ターン目に《汚染》、2ターン目に《ゾンビの横行》で相手に何もさせないぜ!とありますが、それだと2ターン目のアップキープコストが払えないので、それっぽく変えてみました)
《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse》は《イオナ》たんと《ウーナ》たんの攻撃を邪魔させないために入れてあります。
先人の例に倣って《悲哀の化身/Avatar of Woe》を使うこともできますよ(水爆)。
《納墓》と《変幻の大男》
《変幻の大男/Protean Hulk》は一見したところクリーチャーにしか見えません。
パワー/タフネスがあってクリーチャータイプも持ってるし、絵に写っているのはおっそろしか化物です。
ところがぎっちょん!
このクリーチャーはジョニー(コンボ大好きプレイヤー)御用達のコンボパーツなのです!
《閃光/Flash》の禁止以来使われることのなかった《大男》が《納墓》によって新たな命を与えられました。
《大男》を墓地に放り込んだ後、《ネクロマンシー/Necromancy》か《御霊の足跡/Footsteps of the Goryo》で吊り上げれば《大男》は勝手に墓地に落ちてくれるのでコンボは完成です。
《納墓》を使う一番大きな利点はデッキ内の《大男》を1枚にすることによって、コンボパーツを引いてしまう可能性を低く抑えることです。
一般的な勝ち手段を見ていきましょう。
《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
必要なもの
4 《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
4 《変容する壁/Shifting Wall》
3 《ファイレクシアの略奪機/Phyrexian Marauder》
どうやって勝つの?
4枚の《信奉者》(3枚でもok)を《大男》で出します。
一緒にマナコストがXのアーティファクトクリーチャーも出しましょう。
場に出た時にアーティファクトクリーチャーのパワー/タフネスがチェックされますが、X=0ですので即墓地送りです。
これは戦場を経由するため、《信奉者》の能力を誘発させますので、対戦相手は少なくとも21点のライフを失うことになります。
《信奉者》の利点
・単体除去と墓地対策に耐性がある。
・単純にクリーチャーをまとめて出すだけなのでおバカさんな貴方にうってつけ。
・コンボパーツ単体でも場に出すことはできるのでコンボ以外でも多少は役にたつ。
《信奉者》の駄目な点
・コンボパーツが11枚(!)必要。
・最高28点しか削れないので、ライフを多めに獲得されると勝てなくなってしまう。
《目覚ましヒバリ/Reveillark》
必要なもの
1 《目覚ましヒバリ/Reveillark》
1 《影武者/Body Double》
1 《屍肉喰らい/Carrion Feeder》
1 《胆汁小僧/Bile Urchin》
補助
1 《ボディ・スナッチャー/Body Snatcher》
1 《森を護る者/Sylvan Safekeeper》
どうやって勝つの?
まずは最初の《大男》の能力で《屍肉喰らい》+《影武者》か《屍肉喰らい》+《ボディスナッチャー》を持ってきましょう。
《ボディスナッチャー》は手札に《屍肉喰らい》以外のコンボパーツがあった場合、それを捨てるために持ってきます。
《影武者》の場合は《大男》をコピー、《ボディスナッチャー》は《屍肉喰らい》で生贄に捧げて《大男》を戦場に戻しましょう。
今度は《大男》(もしくは変身した《影武者》)を《屍肉喰らい》で生贄に捧げて《ヒバリ》と《胆汁小僧》を持ってきましょう。
《小僧》を生贄に捧げて対戦相手のライフを減らし、今度は《屍肉喰らい》で《ヒバリ》を食べちゃいます。
《ヒバリ》が戦場を離れた能力で《影武者》と《小僧》が戻ってきます。
《影武者》は《ヒバリ》のコピーとして戦場に戻しましょう。
ここでもう一度《小僧》を生贄に捧げます。
おかしく感じるかもしれませんが、《ヒバリ》をコピーした《影武者》を《屍肉喰らい》で生贄に捧げると、戦場を離れた能力で《影武者》自身を元に戻すことができるのです。
これを繰り返すと相手のライフがどんなに膨大にあろうとも《小僧》をそのライフ分生贄に捧げたり、《屍肉喰らい》をそのライフよりも大きくできちゃったりしちゃったりできるのです。
つまりノンストップ!ヒバリ君というわけですね。
《ヒバリ》の利点
・妨害が難しい。《屍肉喰らい》への単体除去は防げます。最初の《大男》の能力で《屍肉喰らい》+《ボディスナッチャー》+《森を護る者》を持って来れば、戦場にある土地の枚数分だけ単体除去をかわせるのです。
・コンボを妨害されても《ヒバリ》+《屍肉喰らい》でビートダウンができうる。
・必要枚数が少なくて済む。
《ヒバリ》の駄目な点
・墓地対策の影響受けまくりんぐ。
・コンボがちょいと複雑なのでおバカさんな貴方には使いこなせない。
スリヴァー
必要なもの
4 《悪性スリヴァー/Virulent Sliver》
1 《ハートのスリヴァー/Heart Sliver》
補助
1 《有翼スリヴァー/Winged Sliver》
1 《水晶スリヴァー/Crystalline Sliver》
どうやって勝つの?
必要パーツをまとめて場に出します。
速攻持ちスリヴァーの攻撃が全て通れば相手に毒カウンターを20個エビルプレゼント!
《有翼》でブロッカーをかわしたり《水晶》で単体除去をかわせたりもできます。
《陰影スリヴァー/Shadow Sliver》ならブロックされないと12個プレゼントです。
スリヴァーの利点
・墓地を使いません。
・コンボパーツ単体をそのままプレイできるので、コンボしないで毒カウンターで勝つことができるかも。《悪性》が2体いるとかなり簡単です。
スリヴァーの駄目な点
・単体除去と火力にゲロ弱。
・攻撃クリーチャー指定前に《大男》を生贄に捧げる手段がないと《ハート》が全く意味なし子ちゃん。
《ヒバリ》以外に選択の余地はなさそうですが、スリヴァー・キルは芸術点高めです。
サイドにスリヴァーセットを用意しておけば、サイドボーディング後の相手の墓地対策を空振りさせられるかもしれません。
いずれにせよ、最初に吊り上げる《大男》を狙われるので、2枚目の《大男》をサイドに用意しておくのもいいと思う。いいんじゃないかな。まちょっと覚悟はしておけ。
《大男》コンボは許容範囲の強さでしょう。
結構な回数のテストの結果、強いけど強すぎないコンボという印象です。
きちんと土地を置けてうまい具合に呪文をプレイできてもギリギリという感じで、少しもたつくとあっという間にフルボッコです。
Patrick Chapin(と私たちのチーム)によるこちらのリストはテストプレイで好感触でした。
http://sales.starcitygames.com/deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=30137
対戦相手が《剣を鍬に》を使っている場合は《陰謀団式療法/Cabal Therapy》を墓地に用意しましょう。
《ネクロマンシー》が《大男》を生贄に捧げるのはターン終了ステップの開始時ですので、それまでに《剣を鍬に》や《流刑への道/Path to Exile》の格好の的となってしまいます。
《ネクロマンシー》の後、優先権を放棄しないで《療法》をフラッシュバックすればそんな隙を見せずに済みます。
生贄に捧げるのがコストの一部ですので、対戦相手に《大男》を追放するタイミングはナッシングです。
《綿密な分析/Deep Analysis》は《納墓》で持って来るもよし、《神秘の教示者/Mystical Tutor》で持ってくるも良しのナイスカードです。
対戦相手の打ち消し呪文の壁をこじ開けるために手札破壊を使った後、《分析》で4枚引いて相手を出し抜いてやりましょう。
《否定の契約/Pact of Negation》は非常に強力なのですが、
・相手の手札を覗ける
・コンボを決める前でも使える
事から《強迫/Duress》をお勧めします。
《契約》はコンボを始めるターンにしか使いませんしね。
個人的に《契約》や《思案/Ponder》の代わりに《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》を使ってみたいです。
コンボパーツを引かないようにできますし、手札破壊への耐性もつきます。
Chapinのリストはデュアルランドをたくさん使っていますが、実は《Underground Sea》を2~3枚、フェッチランドは6~8枚、残りは基本地形で済ますこともできるんです。
基本地形7枚入りのデッキを使ったら、対カナディアンスレッショルド(カナスレ側のこちらに効き目のあるカードは《もみ消し/Stifle》だけ)がとっても楽になりましたよ。
《世界喰らいのドラゴン》よろしく、ハルクコンボには相手の裏をかく余地が沢山あります。
相手の対策カードをかわす勝ち方(《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》を4枚と《森を護る者/Sylvan Safekeeper》を1枚・《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を3枚等)に調整することもできます。
サイドボードは相手の対策カードへの対策が必要になりますので、《真髄の針/Pithing Needle》と《恭しき沈黙/Reverent Silence》は両方とも採用したいですね。
変身サイドボードに使うスペースはそれに見合った結果がめったに得られませんのでお奨めできません。それでも対策カードを交わす勝ち手段として《破滅的な行為/Pernicious Deed》と《墓忍び/Tombstalker》は試してもいいでしょう。
《納墓》の上手な使い方
《納墓》はリアニメイトデッキを強化しましたが、それだけに留まらない力を秘めています。
例えば
・ロック風デッキで《壌土からの生命/Life from the Loam》や《起源/Genesis》を墓地に用意。
・《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》デッキで《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》や《黄鉄の呪文爆弾/Pyrite Spellbomb》といったコンボパーツを墓地に用意。
・《汚染/Contamination》デッキのコンボパーツを墓地に用意。
・ドレッジで《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》を墓地に用意。
《納墓/Entomb》を使って気づいたことがあったら是非ともフォーラムかメールで教えてください。
《イオナ》たんとの組み合わせって強い?
それとも《大男》と一緒のほうが素敵?
私が見落としたサムシングがあったりする?
私はレガシーでの使用に耐えうるカードが出てくるのを心待ちにしてるんです。
それじゃまた来週。
Doug Linn
legacysallure@gmail.com
コメント
今後とも翻訳の方頑張ってくださいw